法定相続情報証明制度がスタートしてから早2年以上が経過しました。
実のところ当事務所の場合、利用頻度はあまり多くありません。
一覧図があれば相続に係る戸籍を提示することなく、関係各所に対して相続関係が証明できるわけですから一見便利なように感じます。
ただ、証明できるのは法定相続人が誰かだけ(もちろん付随的に住所証明書も兼ねたりはしますが)なので、遺産分割協議書(印鑑証明書付)が省略できるわけでもないし、また複雑でない相続の場合は証明するための戸籍がそもそも大したボリュームでないので、メリットはかなり目減りしてしまいます。
その割には、一覧図の作成はクセがあると感じてしまいます。
クセがあると感じるのは、司法書士が相続登記の際、頻繁に作成している「相続関係説明図」(簡単な家系図のようなもの)と似て非なるものなので、混乱しやすいのが原因だと思います。
魚住紅音
例えば、相続関係説明図には既に亡くなった人(被相続人より先に亡くなった人)を便宜記載しても問題ありませんが、一覧図の場合はアウトです。
(「被代襲人」のような記載をすることはありますが)
一覧図の場合は、被相続人が亡くなった時点で、誰が法定相続人であるかをわからしめるものなので、それ以外の者は記載しないルールなのです。
もっとも最近のソフトは性能が良いので、私が利用しているものも一度相続関係説明図を作成すると、自動で一覧図に切り替えてくれるので面倒は少なくなりました。
ただ先日、兄弟姉妹が相続人の案件で、その内の何人かに代襲相続が発生していたため、被相続人から見て甥や姪が相続人になっているケースがありました。
甥や姪の肩書が自動でうまく入らなかったので手入力で修正する際、一瞬肩書をどう記載したらよいか迷いましたが、被相続人から見た関係性で記載するルールなので「甥・代襲者」と記載したところ、問題なく一覧図ができました。
尚、余談ですが一覧図に相続人の住所を記載する場合は住民票を添付するのですが、ない場合は印鑑証明書で代替できます。(もちろん原本還付も可能です。)
通常の不動産登記と同じ扱いですね。
免責事項をご確認の上、閲覧ください。